やりたい放題 「それでも、生きてゆく」♯1






画面はどっからどう観ても
フジテレビ的映像美で
勝手に心配していた監督・永山耕三先生のトレンディ(軽い演出)はなく
むしろ、水曜日の情事の時のように妙にスタイリッシュ
なのに
冒頭の年代表示のフォントは90年代を感じさせ
オープニングにちゃんとタイトルバックがあるなんて
90年代のフジドラマを観て育った僕には感涙のフォーマット
しかし
よくもまぁこんな真っ暗闇な企画が通ったなと思う
全くフジテレビらしくない内容
しかも、キャストが瑛太満島ひかりだなんて
かなり、社会派ぶってる






脚本・坂元先生の社会派第1作「わたしたちの教科書」は
それまでの東ラブ的“歯の浮く台詞”は抑えめ
なのに
東ラブ的“ポエム”は随所で
それを
ニュー坂元イズムの
“ショック”

“キメ台詞”

“巧みなストーリーテリング”をふんだん用いて
無理矢理社会派にもっていきそうなところを
フジテレビ的
“釣り”

“派手さ”
が時々それを邪魔して
社会派なんだか、釣りドラマなんだかわからない
良くも悪くもTHEフジテレビな
なんだかちぐはぐな作品になってしまったけれど





途中
東ラブ的“歯の浮く台詞”と“ポエム”のみ
な上に
“超脳天気な設定”のラブコメたち(猟奇的な彼女らへん)をはさんでの





日テレ「Mother」
“巧みなストーリーテリング”重視

時々、“ポエム”っちゃうところを
日テレの良心、監督・水田伸生

芦田愛菜ちゃんが
うまく矯正、ごまかしてくれたので
こんな良作、、
坂元先生、、どうかしちゃったんじゃないか
と騒がした(自分が)わけですが








今回の
それでも、生きてゆく
ですが
激重な設定でコーティングされてはいるものの
その中で繰り広げられる会話(主に、エータと満島の会話)は
“歯の浮く台詞”の応酬
途中、柄本明とやんやあったり
ラスト、エータが包丁持って白昼堂々、、
だったりと
僕が一番楽しみにしている“ショック”展開らしきものもありましたが
今回は“ショック”よりも、“歯の浮く台詞”重視!、フジテレビだし!!
な印象
「Mother」も「チェイス」も
“ショック”だし“巧み”で良いんだけど
フジテレビ→ドラマ→ゲツク→東ラブ→保奈美×裕二→坂元先生
なわけで
坂元先生から“歯の浮く台詞”を薄めて
“社会派”を重視されては
坂元先生のオールドファンとしては、ちょっぴり切なくなってしまうわけで
だからといって
裕二の「太陽と海の教室」のような
社会派なんだか、ラブコメなんだか、GTOの劣化版なんだか
よくわからんものつくられちゃ憤慨するわけだけれど





坂元先生が素敵なところは
いくら最近社会派ぶったって
ちょこちょこはみ出しちゃう、抑えきれない
歯の浮く台詞=トレンディ
なところ



ブコメの上にのせられた坂元流トレンディは
サブすぎて、キツいことしばしばだけれど


社会派の上にのせられた坂元流トレンディは
なんだか一周回って山田太一の様であり
今回なら
しつこく“〜っすか”を多用する
若者ぶった坂元先生の台詞達は
その言い回しがトレンドだと疑わない
坂元先生の少年っぽさが垣間見えるし
根本の言い回しはホントに東ラブの頃とは変わっておらず
僕は感動すらしたし
山田太一先生も
野島伸司(呼び捨て)も
坂元先生もそうだけど
どうしても出てしまう(寧ろ、出してる?)“個性”な台詞
好きです




しかも
台詞は東ラブの頃と何も変わらない
キャッチーでトレンディーでポエミー(?)な坂元先生なのに
設定が激重、、
だからこそ
坂元流見易くしようとした結果の
“歯の浮く台詞”の応酬

“重”へのベクトルもMAXだし
“歯の浮く台詞”も全開で遠慮無し



つまり
やりたい放題


観ながら、やりたいように全部やってんなぁ
って感心しました






肝心の中身だけれど
僕は、金八の風間君のシリーズをフワッとなぞる程度しか知りませんが
エータの妹を殺した風間くんが現れるラスト
風間君を殺すために包丁を忍ばせたエータの背後に
見切れて入ってくる風間君
って撮り方

そのときの風間君の顔


秀逸


ジャニーズだから、、、のキャスティング
ではなく
金八の健次郎だったから、のキャスティングに違いない(けんちゃんと呼ばれとるし)
風間君


そんな図式
ジャニーズ的にまれだと思うし
登場のっけからあの役と同化してる風間君って
素晴らしいというより怖ろしかったです




今後に期待