“嫌ならみるな”を体現するフジの秋改編






ホントにいつからフジテレビの(ネット上)キャッチコピーは
“嫌ならみるな”
になってしまったんだろうか
“嫌ならみるな”
って一体誰が言ったの?
(現実世界だれも言ってない?)



僕の鈍いアンテナが感知した限り
言ったとされる、岡村隆史ビートたけしはいくらフジっ子とはいえ、直接フジテレビとは関係ないだろうに、、、




“軽チャー”を標榜し
“楽しくなければテレビじゃない!”を合い言葉に
トレンドと視聴者を長年牽引してきたフジテレビが
今や
“嫌ならみるなのウジテレビ”
と言われ
一昨年までの視聴率三冠王がウソだったかのように
アレヨアレヨの三位陥落
この惨状は何やってもうまくいかなかった(番組がつまらなかった)98年あたりに舞い戻ったかのよう
でも、あの頃と今とで明らかに違うのは
木村拓哉ですら16パーという、得意のドラマもどうにもならない
という所か





でも
まあ
僕も
嫌ならみなくていいと思うんだ
だって
テレビのチャンネル権はいつだって視聴者にあって
嫌だから(みたくないから)みないってのは当たり前のことだし





それに
テレビ側の人だって
できるだけ多くの人にみてもらいたい
って思ってつくるのが大前提だろうし
僕もそうであって欲しい
そうじゃなきゃテレビじゃない
そう思ってつくらないヤツは他でやれ、ゆーちゅーぶでやれ
と思うわけですが
かといって
できるだけ多くの人に!
と視聴者に媚びまくるのも今の視聴者は萎えるわけで
みてもらいたいと媚びる部分と
自分のつくりたいものをつくる!というクリエイティブな部分のバランスをものすごく大事にしてると思うわけです
つまり
クリエイティブの追求と
作り手側の感性と合わない=面白くなかったら無理にみなくてもいいよって意味での“嫌ならみるな”
紙一重だから
みなくていいってのも少なからずほんのりはありつつ、つくってるんじゃないか
ということです



ないか









ここまで自分で言っといて意味不明ですが





分かりやすい例で言えば
物語の分かり易さ、わかりづらさが根本だとは思いますが
画づくりにクリエイティブ臭がプンプン漂う大河ドラマ平清盛
よりも
何の変哲もない普通画面の前作「江」の方が(数字的に)視聴者受けがいいのです
(「平清盛」も“普通画面”だったなら、もっと数字踏ん張れたんじゃないか、と僕は思います、、ってクリエイティブを追求する余り物語も難解になったとも言えますが、って観てないけど)





その
“媚び”と“クリエイティブ”のバランスが素晴らしかったからこそ成功したのが
“シャンデリア”以降の「FNS歌謡祭」
だと思う
きくちP(歌謡祭のP)のクリエイティブ(=個人的趣味)を
THEフジテレビ的ゴージャスなゲタを履かせて
ちゃんと“魅せてる”
と思うので






そのバランス感覚と
視聴者の求めるものの差が如実に表れたのが
先週の
フジテレビ・10/26(金)19:00〜「アイアンシェフ(視聴率10.7%)」

テレビ朝日・10/27(土)18:30〜「お願いランキングGOLD特別編・お菓子総選挙SP(視聴率14.4%)」


前者はどう考えたってもう遅いのに三冠王奪還の秋改編の目玉
言わずと知れた「料理の鉄人」海外バージョンの凱旋帰国版
映画のオープニングのような荘厳な音楽とタイトルバック
超気合の入ったハイセンスなCG、衣装、セット
の中にたたずむ仰々しい玉木宏

よりも

中会議室的なスペースで
各お菓子メーカーの広報部員をパイプ椅子に座らしてすし詰めにし
その素人広報部員が大段幕ふったり、無駄に歓声上げたりしつつ
「どのお菓子が一番おいしいのか?」という“THE人それぞれ”なランキングの
各社のパワーバランスによって前もって決められた出来レースの結果を
声高らかに読み上げる仰々しい楠田枝里子
の方が
数字がとれるわけです



テレ朝なので明らかに悪意がありますが
要は
変に金かけるより
別にとりわけ知りたくもないけどランキングにされると反射神経的につい最後までみちゃうよね
という最近のテレ朝必勝フォーマット(「お試しかっ!」然り)の作戦勝ち



外見より中身だ
ということが数字で分かるわけです


あの番組フジテレビでやるんならば「料理の鉄人」ばりにものすごいゲタはかせて(外見に金かけて)つくったと思う





話戻って
今期のフジテレビはそのバランスが極端なのです
今期始まったフジテレビの新番組を列挙してみます



PRICELESS(月9)
ヌメロン(月11)
遅咲きのヒマワリ(火9)
ゴーイングマイホーム(火10)
キャサリン三世(火11)
世界は言葉でできている(水8)
TOKIOカケル(水11)
結婚しない(木10)
オデッサの階段(木11)
アイアンシェフ(金8)
テラスハウス(金11)
超潜入!リアルスコープハイパー(土7)
高校入試(土11)
TOKYOエアポート(日9)




いわずもがな“キムタク”で全てを引き寄せる「PRICELESS」

全てのご都合主義を恥ずかしいほどの“トレンディ(ドラマだからと割り切る)”によって無理矢理突っ切る「結婚しない」
といった“媚び”とは真逆の
難解でクリエイティビティ(もはや“クリエイティブ”言いたいだけ)に特化したモノが目立つ


例えば
ルールはシンプルながら戦略が難解すぎる数字当てゲーム「ヌメロン」

スタイリッシュなあいのり風ドキュメンタリ「テラスハウス

“クリエイティブ”と“媚び”のバランスを探しあぐねている最中かとは思うんですが
「ヌメロン」は、中身はインテリジェンスなのに外見が安っぽいし
テラスハウス」はあいのりに比べ、エンタメ要素の乏しいただただ普通の若者たちの日常を切り取るってのをコンセプトにしてるだけあって
とにかくスタイリッシュな映像処理で“テレビ番組”として成立させようという意図はわかるんだけど
あまりにもスタイリッシュすぎて一般人の長編PVのよう
だけど
この二つはまだ若干視聴者に寄り添いたい、この面白さに気付いて欲しい、みたいな姿勢が見受けられるけれど



全く見受けられないのが以下の3つ


キャストは媚び度MAXでも、中身も映像も一切媚びてる感ゼロの「ゴーイングマイホーム」

なぜ、「はねトび」後の水曜8時に哲学言葉ゲーム、な「世界は言葉でできている

よく言えば超クリエイティブ、悪く言えば公開オナ○ードキュメンタリ「オデッサの階段

我が道を行く感がずば抜けている
中身も外見も“クリエイティブ”に寄りすぎて
視聴者を見放しているかのようにも思える
さすがCOOL TV!!(今期のフジテレビキャッチコピー)
これぞ(面白くなかったら無理にみなくてもいいよって意味での)嫌ならみるな!
フジテレビの逆ギレとも思える



まあ
ゴーイング〜」は意図的で確信犯なのでいいし
オデッサ〜」も11時台ということで“挑戦”を許されたんだろうけれど
ホントに一体全体なぜに水曜8時に「世界は言葉でできている」なんだろうか
するにしても視聴者への周知や中身の準備期間がなさすぎる
前期、生き急ぐように死んでいった「世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?」

低視聴率のテコ入れで大がかりなセットを作ったにも関わらず、テコ入れ新セットの2週目で打ち切りになった「奥の深道
も準備期間が短すぎたが故にブレイクする前に死んでいったように思う
できかけのソフトを煮詰めないまま世に放って勝手に自爆している
「世界は言葉で〜」もそのニオイがプンプン
なのになぜ敢えて水曜8時に持ってきたのか
それはもう
“嫌ならみるな”を体現しているとしか思えない
門戸の狭そうなものを敢えて放送し
そこでもしかして奇跡的に視聴者の方からその扉をこじ開けてくれるかも
みたいな





まあ
とにかく
何であろうと
オデッサの階段」は
映像に凝り凝りなのはいいんだけど
もう少し視聴者に寄り添う作り方をしてもいいと思う